オデュッセイア(15)


ジェルキンス神父は、ジャックに向かって、にこりともせずに言った。

吉木りさ860x515

白い大きな家の、「ジェルキンス」とだけ書かれたドアは、ロックされていなかった。

 トムは、ごく自然に開けて、中に入っていったので、本当に「破門」になったのか、ジャックは怪しんだ。

 家の中に入ると、空気が、しんみりと変わった。

 長い廊下があって、両側に部屋が並んでいた。時間帯のせいなのか、人の気配はない。

 途中、左側に、ミーティング・ルームのような比較的広いスペースがあって、そこで、熱心にコンピュータを覗き込んでいるアフリカ系の女性がいた。トムとジャックが通り過ぎると、彼女は一瞬顔を上げたが、興味なさそうに、すぐにコンピュータに視線を戻した。

 廊下の突きあたりを曲がったところに、「ファーザー・ジェルキンス」と書かれたドアがあった。さすがに、トムの表情に変化が生じた。

 トムは、ジャックの方をふりかえって、ささやいた。

 「私たちは、何をしに来たのでしたか。」

 「私を、校長に紹介してくれるのでは。」 

 「ああ、そうでしたね。」

 その表情を見て、ジャックは、どうやらトムはジェルキンス神父が苦手なのだろうと感じた。おそらくは、破門になる前から。

 トン、トン、とトムがノックをすると、中から「入りなさい」と返事があった。

 思ったより、声が若い。

 トムが身体を少し伸ばすようにして入り、その後をジャックが続いた。

 デスクに、黒い神父服を着た男が座っていた。短い髪の毛で、眼鏡をかけている。

 今まで、紙に何か書きものをしていたようだが、その動作をやめて、トムと、それからジャックの方を見ている。

 「あなたは、トムの弁護士ですか?」

 ジェルキンス神父は、ジャックに向かって、にこりともせずに言った。

( °◡°)

投稿者:

awantan

awantan

そんな、恥ずかしいこと言えません^^;

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です